弓奏楽器「二胡」とは?
二胡は、中国では古くより親しまれてきた弓奏楽器で、何百年もの進化を遂げた結果、現在の簡単な構造に落ち着きました。錦蛇の皮を張った胴に棹が差し込まれ、そこに二本の弦を渡し、その間を弓の毛が通ります。独特の甘い音色は、この素材と構造によるものですが、奏者に要求される技術は幾多のものがあります。
中国音楽は、五線譜上では5つくらいの音しか使わないものが多いのですが、声楽から発展してきたため、音と音をつなぐ音が大切にされます。これらの音を表現するのに二胡は適していたため、中国音楽では様々な場面で二胡が登場します。
しかし、一口に中国音楽といっても、中国は多民族国家なのでその民族音楽は多様性に富んでおり、ひとつにくくることはできません。過去の二胡奏者達は、これらの音楽を様々な技法と工夫で演奏してきました。その結果、西アジアから、モンゴル高原、東南アジアの音楽までも自然に取り込み、独特の二胡音楽の世界をつくってきました。

「水の流れにはいろいろな表現がありますが、
二胡の表現はそれに似ています。
液体は流れて自然な状態へ遷移しますが
二胡の音色もそうあるのが理想です。
雨のつぶがせせらぎとなり、やがて小川から大河へ
そして、海に至って、再び大気に戻って行くように。
弓の毛と弦の間の小さな循環運動が音の種をつくり
弓はその両端の循環運動でそれを膨らませて
奏者の呼吸によって、二胡の響きが生まれます。」 程 農化
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